分娩方法には経膣分娩と帝王切開の二つがありますが、双子の出産はそのリスクからか帝王切開になるケースが多く、60〜70%の人が帝王切開で出産するという調査結果もでています。
病院によっては「双子はすべて帝王切開」という方針のところも多いでしょう。ただ、必ずしも経膣分娩が不可能なわけではありません。「経産婦で2人とも頭位の場合」など、一定の条件を満たしている場合は経膣分娩でも双子の出産は可能です。
帝王切開と経膣分娩のメリット・デメリット
帝王切開・経膣分娩ともにそれぞれメリットデメリットがあります。以下にそのメリットデメリットをまとめてみました。
| (予定)帝王切開 | 経膣分娩 | |
|---|---|---|
| 出産日時 | 事前に決められる | 事前に決められない |
| 産後の回復 | 遅い | 早い |
| 費用 | 高額医療費や生命保険の給付金が戻ってくる場合も | 全額自己負担 |
| 分娩・手術時間 | 1時間程度 | 個人差あり(長時間になる場合は緊急帝王切開に) |
| 入院期間 | 10日前後 | 1週間程度 |
| 赤ちゃんへのリスク | 短時間で2人とも安全に出産できる | 2人目の赤ちゃん出産時のリスクが高め |
| 母体への影響 | お腹に傷跡が残る 肺塞栓や癒着が起こることも 次回の出産方法も帝王切開になる可能性が高くなる |
分娩の経過次第で緊急帝王切開になる場合、麻酔が効かないうちに開腹手術になる事も |
帝王切開のメリットは赤ちゃん2人とも安全に出産できること(何かあった場合でも速やかに対応できる可能性が高い)、経膣分娩のメリットはママの産後の回復が早いことでしょうか。
あとから産まれる赤ちゃんのリスク
2007年にイギリスの有名な医学雑誌「British Medical Journal(BMJ)」で、双子の出生順序と周産期死亡の関連性についての論文が掲載されました。
これによると、出生順序による周産期死亡率は1番目に産まれた子より2番目に産まれた子のほうが高く、経膣分娩の方がその傾向がよりいっそう強いとのことです。この論文では、2人目の周産期死亡数は1人目の2倍という結果が出ています。
Gordon C S Smith, Kate M Fleming, Ian R White. Birth order of twins and risk of perinatal death related to delivery in England, Northern Ireland, and Wales, 1994-2003: retrospective cohort study. British Medical Journal 2007;334(7593):576.
経膣分娩における2人目分娩時のリスクとして考えられるのは以下のようなものがあります。いずれも、1人目の赤ちゃんが産まれたことでおなかの中の環境が急に変わることによって起こるもので、その状態によっては緊急帝王切開となります。
- 心音が弱くなる
- おなかが急に小さくなったためにへその緒を圧迫されたりして赤ちゃんの心音が弱くなることがあります。
- 胎位が変わる
- 今まで頭位だったのが、おなかから1人目の赤ちゃんがいなくなったことでバランスを崩して、横位や足位などの胎位になってしまうことがあります。
- 臍帯脱出
- へその緒が赤ちゃんの頭より先に子宮口から出てきた状態を指します。 臍帯の血流が遮断されると赤ちゃんにとっても大変危険な状態になります。2人目が頭位でない場合に多く起こります。
- 2人目がなかなか産まれない
- 双子の経膣分娩の場合は、1人目が産まれてからだいたい30分以内には2人目の赤ちゃんが産まれますが、30分を超えると少しずつリスクも増えるために注意が必要となります。
- 胎盤剥離
- まだおなかの中に赤ちゃんがいる状態で先に胎盤がはがれてしまう状態を指します。胎盤が剥がれると赤ちゃんに酸素が十分に送れなくなり酸欠状態になります。 この状態が続くと、赤ちゃんに脳障害が残ったり、死亡する場合もあります。
双子の出産で意外に知られていないのが、この2人目の赤ちゃんへのリスクです。帝王切開が安全というわけではありませんが、経膣分娩を選択した場合は万が一のときのバックアップ体制を必ず確認しておきましょう。
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